2023.1/21(土) ~ 2023.3/26(日)

  • 大津市

滋賀県立美術館の企画展「川内倫子 M/E 球体の上 無限の連なり」が心に響く【大津】

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滋賀県立美術館の企画展「川内倫子 M/E 球体の上 無限の連なり」が心に響く【大津】

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川内倫子 M/E 球体の上 無限の連なり

日時 1月21日〜3月26日

9:30~17:00(入館は16:30まで)
会場 滋賀県立美術館
料金 入場料/一般1300円、高大生900円、小中生700円
問い合わせ先 滋賀県立美術館

077-543-2111
リンク https://www.shigamuseum.jp

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滋賀県立美術館では、1月21日〜3月26日の期間限定で「川内倫子 M/E 球体の上 無限の連なり」が開催されています。編集部は、前日のプレス内覧会に参加させていただきました。

今回の企画展は、滋賀県生まれの写真家・川内倫子さんの、国内では6年ぶり、故郷である滋賀でははじめてとなる大規模個展です。

この10年間に焦点を当て、未発表作品を織り交ぜた企画展となります。

川内倫子
1972年滋賀生まれ
写真界の芥川賞とも称される「木村伊兵衛写真賞」をデビュー作で受賞。2022年11月には国際的な写真賞Sony World Photography Award 2023 特別功労賞を日本人で初めて受賞するなど、国内外で高い評価を受けている。

川内さんの作品はどれも、柔らかい光と独特の淡い色合い、また正方形のフォーマットが特徴です。あらゆる生命が持つ神秘や輝き、儚さ、力強さを感じられますよ。

タイトルになっている〈M/E〉は「母(Mother)」と「地球(Earth)」の頭文字。「母なる大地」そして「私(Me)」でもあるそうです。

さらに今回の個展では、新たに縦(タテ)で撮られた作品も多くあります。“自分が何を見ているか、鏡に向かっているようにようなイメージで撮影しました”と川内さん。

まるで自分自身と向き合うような作品の数々に、心が打たれます。ではさっそく内覧会の様子をレポートしますね。

「M/E 球体の上 無限の連なり」を目にして

企画展は、〈4%〉〈Halo〉〈An interlinking〉〈One surface〉〈Illuminance〉〈光と影〉〈Awhisper〉〈あめつち〉〈M/E〉と、テーマ毎に雰囲気の異なる空間になっていました。

今回の会場デザインは「中山英之建築設計事務所」が手がけています。

川内さんが“自分が作品を制作する際に感じた感覚や経験を、展示空間で観賞者と共有したい”という想いに応えた空間なんです。

川内さんの想いはもちろん、その想いを見事に表現した中山英之さんもとっても素敵ですね。

左:川内倫子さん、右:中山英之さん

メインの〈M/E〉は、2019年からの新作シリーズ。アイルランドの氷河や冬の北海道の雪景色、コロナ禍に自宅周辺で撮影した家族や生き物の姿といった身近な風景です。マクロとミクロの視点から自然の姿を写し撮っています。

空間に入って左手にあるのは、実際のアイルランドの洞窟を撮影したもの。

プレス内覧会なので、多くのマスコミの方が集まっていましたが、わたしのように個人的に楽しみにしていたファンもいたはずです。

川内さんの作品の特徴でもある、正方形がずらりと並びます。じっくりと見る時間がなかったのが悔やまれます。独特の光の表現と多彩に広がる色合いがとても印象的でした。

真ん中にあるのは、かまくらのようなトンネルのような…そして、なにかの生き物の体内のような…というイメージを表現したもの。

170mの1枚の布にヒダをつけ、くり抜いたそうです。中に入ると柔らかく分割された不思議と安心する空間でした。

個人的に一番感動したのが、〈M/E〉の奥にあったこの空間。(写真が…すみません)

本来、写真集は見開きになっていることから、左右どちらにどんな画像を置くか関係性を大切にしていたという川内さんが、その想いを映像でも表現したいということでした。
※わたしは普段、紙媒体をメインに本作りをしているのでこの想いに深く共感しました。感動すら覚えました。泣ける。

(順序は違いますが)反対に、〈Illuminance〉は展示される度に新しく映像を追加して行くことをコンセプトにした作品。

同じ二つの映像を、再生タイミングをずらして並べ、写真集の見開きのようにしていますが、鑑賞者が見るタイミングにどのような作品が投影されるかコントロールできないため、見る人によって様々な想いを体感できるんだそうです。

映像の魅力はこういった表現方法ができることなのかもしれません。そのアイデアに脱帽です。

…といった感じで、紹介し始めるとキリがありませんので、ぜひ実際に観ていただきたいです。本当に本当に感動しますよ。

「川内倫子と滋賀」アール・ブリュットの才能が集う場所

[展示室2]では、2021年の滋賀県立美術館リニューアルオープンのために撮り下ろされた作品と、滋賀に関わりの深いものが特別展示されています。

また、3年に渡り、滋賀県甲賀市にある福祉施設「やまなみ工房」にて撮影したシリーズも紹介されていますよ。映像作品は初公開になるそうです。

川内倫子さんの実際の声

プレス内覧会として全ての展示を拝見させていただいた後は、「木のホール」にて説明会と川内さんのスピーチ、質疑応答などがありました。

左:館長の保坂健二朗さん、右:川内倫子さん

“写真を撮り始めると、自分が今何を考えているか分かり、頭を整頓しやすいです。それを繰り返すことで今に至り、30年続けることで〈M/E〉=今の自分にたどり着きました。”と川内さん。

さらに、“〈M/E〉のトンネルのような空間は、一番最初の打ち合わせから言っていた(イメージしていた)もので、アイスランドで感じた地球に包まれる感覚を観に来た人とシェアしたいと思って表現していただきました”と話してくださいました。

会場構成を担当した中山さんは“空間も作品の一部だと考えていただけるのが特別なこと。建築家の身として嬉しく思う。今後はこれがスタンダードになって欲しい”と想いを打ち明けてくれました。

最後に“皮肉なことに、コロナによってこの地球が、1つの世界であることを実感できました。”と言った川内さん。滋賀県立美術館とこの企画展に足を運んでくれる人には“歳を重ねるごとに滋賀の魅力を実感しています。(この企画展で)同じ地球に生きていると感じてもらえると嬉しいです”とメッセージをいただきました。

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FUJICO

CHEKiPON編集部&ライター。西の湖の畔に住み、珈琲と日本酒を愛する仕事人間です。これといった趣味はないものの、ミーハーなので広く浅くなんでも知りたがり。滋賀の魅力が少しでも多くの人に届くように…と無責任に祈っています。

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