【編集部コラム】若者よ、これを聞け!「聴け!」(ミナきち)【第5弾】
最近の音楽事情にはてんで疎いもうすぐ43歳ですが、それでも「うっせぇうっせぇ」言ってる女子高生は知ってますし、「ベテールギーウスー」なんて歌えたら、30代後半くらいの女子ならイチコロちゃうかなって、そんな野望はあるわけですよ。なめんなよ初老を。
16歳の頃からギターを始めたわけなんですが、初ライブでは大事な曲のイントロの部分でピックを落として親友の藤井君に罵られ、淡路島花博で郷ひろみの前座と言われて立ったステージでは、会場隅の噴水の前でお客さんは一人。他にも書き出したらキリがないよ、5人のお客さんを前に「行けるか京都ォ~!」なんてやってた時代もあったな。
そんなバンド人生を歩んできた僕が今この2022年、絶頂にハマっているミュージシャン、今風で言うと推しって言うんですか?
その人をぜひ紹介させてほしい。
その名は「玉置浩二」。
あまり知らない人はきっとこんな印象でしょう。
「離婚ばっかりしてるおっさん」
「ちょっと頭おかしいおっさん」
と。
かくいう僕もそうでして、どちらかと言うと嫌いな枠に分類してました。青田典子大丈夫かと滋賀県から心配してたくらい。
そんな見方をしていたアナタ、アナタは正しい。
正しいですが、ぜひもう少し深く深く、玉置浩二のことを知って頂きたい。
2021年12月、最近マイブームのお風呂でYoutubeタイムの最中のことです。オススメに上がってきた動画がコレ。
その日は42℃のお湯の中で血流もご機嫌も良く、白髪で熱唱するナイスシニアのサムネ画像を流れるようにタップ。すると…、
あれ、あたし泣いてる?熱くて湧き出た汗か?
いやこれ違う。心にすっと入ってきて、眼球の奥からそっと押し出された涙ですやん。
脳みそに直接語りかけてくるような、魂の波長を感じるような歌声。
自分の声に絶望感すら覚える歌声。
リズム・ピッチ感・声量・表現力と、どれをとっても次元が違いすぎて、油断してたら鳥肌えらいことになるやん、マジで。
音楽やってる人ってより、この人自体が音楽。音楽が服着て歩いて笑ってるわ。
言わずもがなですが、「安全地帯」というバンドでメジャーデビュー。有名な曲だと「ワインレッドの心」とかかな。
当時の映像を見てももちろんしびれるんですが、何がすごいって、頭真っ白の今が一番カッコよくて歌もいいってこと。何ていうか、人生の歩みがそのまま声に反映されてる感じ。年齢を重ねて熟成されてるんです、声が。
離婚三回、結婚四回、それだけ聞けばなかなかに破天荒。しかしおそらく彼は、その時その時に正直に生きているだけなんだろう。
歳取ってかっこいい人っていっぱいいるよ。キムタクもアンタッチャブルの柴田さんも今の方がかっこいい。でも、玉置浩二はその次元を越えてる。だってもう64歳とかですよ。
Youtubeで動画を漁ると、TVに出演して他のミュージシャンと共演してるのも多々あるんですが、どれを見ても偉そうにしてないのな。これだけ地位も実績もあるのにいつもニコニコ笑って、ガムテープで補強したボロボロのアコースティックギターかき鳴らし、隣にいる人にまで楽しそうに音楽をさせてる。何ていうか、器がデカすぎる。
「玉置浩二」
とんでもない食わず嫌いだったということに気付いた2021年の暮でした。
ファッションと同様、音楽にも流行りがあります。音楽のジャンルって、ロック・ポップ・ハードロック・ヘビメタ・ブルース・レゲエ・ヒップホップとか無数にあるわけですが、日本はやはり「歌謡曲」分化の国。外国発祥の音楽が根付き、洋楽オマージュのバンドが
独自メロディーを確立して売れまくった時代もあったが、個人的な好みはあるものの結局のところ日本人の耳と心に深く響くのは、キャッチーなメロディーの歌謡曲なのである。
Adoも優里もYOASOBIもあいみょんも、ヒットした曲のメロディーはどれも非常にキャッチーで、日本人にとっては聴きやすいものばかり。今の日本の音楽は、いわゆるこの「歌謡メロ」黄金期と言っても過言ではない。ちなみに音楽なんて、ラッド・バンプ・ワンオクの弟はマイファスくらい言えたら「よく知ってるねー」です。
ではしかし、今のこの音楽が10年20年…50年と経った頃に聴き、今と同じもしくは今以上に感銘を受けるのか?その音楽が演者と共に深みを増していくのか?
そんなことを考えながら、歳を重ねて熟成していく玉置浩二の音楽、日本人らしい言葉とメロディーで魅了する彼の音楽、今はとにかくコレをオススメさせてほしい。
「聞く」と「聴く」の違いを体現しているミュージシャン。
人間国宝に認定していいレベルです、まじで。
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