- 近江八幡市
ひいなのほほえみに込めた想い「近江八幡節句人形めぐり」
2月も半ばにさしかかり、雛祭りに向けてそろそろ雛人形を出されているご家庭も多いのでは。
華やかな雛人形は見ているだけで気持ちも華やぎますよね。
「雛祭り」は紙で作った人形に自分の穢れを移し川に流す「流し雛」と、平安時代の雛遊び(今でいうままごと)が合わさったもので、「愛する我が子に健康に幸せに過ごしてもらえるように」と親の願いの込もった行事です。
そんな雛祭りに先駆け、近江八幡市の旧市街では3月26日(日)まで「近江八幡節句人形めぐり 町並みに装うひいなのほほえみ」が開催中。江戸時代から平成にかけての貴重な雛人形を32の会場で楽しめます。わたしもこの機会にいくつか会場を巡ってみました。
32ある会場の中でも押さえておきたいのが「旧伴家住宅」、一番の展示数を誇っており現代の雛人形に近いものから珍しいものまで種類も様々、きらびやかなひいなの世界に思わず時を忘れてしまうほどです。
こちらの御殿雛飾りは華やかな貴族の象徴である立派な御殿に人形が飾られており、その昔庶民達が抱いていた貴族の生活への憧れが伺えます。きっと多くの女の子たちがこの雛飾りを前にうっとりと想いを馳せていたことでしょう。
またこちらでは、雛遊びに用いられていたお道具も多く展示されていて、どれも本格的で目を見張るものばかり!
雛遊びが単なる遊びではなく当時の娘たちに立派な女性となってもらうための家事を学ばせる場であったため、お道具にもこだわっていたのでしょうね。
次に訪れたのは「旧西川家住宅」、国重要文化財にも指定されている築約300年の建造物、突き出した座敷玄関を持っているのが特徴です。こちらには江戸時代初期に流行した「享保雛」が多く展示されています。
面長で能面のような顔立ちにお雛様の衣装も丸みを帯びた着せ方で、現代のものとはまるで違いますね。
「立木屋」では、お店のおばあさまから今では馴染みの無くなってしまったお道具の実際の使用方法や節句人形など想い出の品々にまつわるお話などを伺えました。
中でも驚いたのがこちらの「おくどさん」にまつわるお話。
なんと、その昔、おおばあさまがお孫さんやそのお友達を喜ばせようと、展示物に本当に火を入れお米を炊き大騒ぎになったのだとか・・その証拠に焦げ目がしっかりとついていました。今となってはいい思い出だとお話されていたおばあさまの笑顔に、心がほっこりと和みました。
華やかな雛人形はもちろんのこと、雛祭りにこめられた子を想う親の愛情や庶民の想いにこの機会に是非触れてみては。きっと雛祭りへの思い入れもさらに深まるはず。
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