湖北一!一俵鏡餅にみる「川道のオコナイ」
湖北地方に広く伝わる神事「オコナイ」は、その歴史や規模において全国でも珍しく貴重な祭事として近年注目を浴びています。
なかでも、毎年2月末に行われるびわ湖畔の旧びわ町川道のオコナイは特別!
今年は2月26日に開催されました。
一俵鏡餅に代表される「もちおこない」ともいえる壮大な様で、ほかを圧倒します。同区のなかでも古式にのっとり、唯一、手作業で餅つきをすすめる東庄司村に密着しました。
(※川道のおこないは全戸を7つの区に分け開催。東庄司村はそのひとつ)
まず、準備は開催の2週間前から動きます。
メインの餅つきは3日前。
午後3時頃から釜に水を入れる作業が始まり、夕刻、仕事を終えた青年(若衆)が順次集まり白Tシャツに着かえ、餅つきを待ちます。餅つきは若衆の役目で、「定」により役割分担が決められています。
そして、年寄りは一切、その空間に近づきません。寒空の下、湯をわかしたり、杵を洗ったりと裏方に徹します。
餅つきの臼は3基、二人がチームになり「ゴク潰し(荒つき)」から始めます。これは非常に力を要します。
杵を押す、引くという動作をしながら「ヨイサ、ヨイサ」という掛け声が連呼されます。
そして、餅つきがはじまると惣蔵内は熱気ムンムン! 今年は12人の若者が交代でついていきました。小学生も飛び入り参加!
全ての餅を一つに集め、丸く形を整えます。熱さとその重さで大変ですが一番集中する瞬間。
無事に枠におさめると「おめでとうございます」の声が。
お鏡を前に年寄りも集合し、全員が輪になり、「オーシャン シャンノ シャンノコセー」の掛け声とともに手締めで完成。
本番前日(宵宮)。
いよいよ、神社へ出発。
一俵餅は提灯に囲まれた献鏡屋台の中におさめられています。大太鼓をたたく子供達にも力が入ります。
出道に集合した7つの屋台はゆるりゆるりと神社にむかい、そして、クジ順にお鏡を拝殿にお供えします。
本番当日。
村の人達が神事の前に7つの大鏡餅を拝みに来ます。
川道の「オコナイ」は噂どおりの熱い祭りでした。
とくに約5時間に及ぶ餅つきは圧巻。
そこには、餅つきを通して、若者とそれを見守るお年寄りとの確かな絆がみえ、信仰心を超えた力を感じました。
餅つきのさなか、疲れを見せた若者に誰かが言った言葉が残ります。
「つくたびに幸せがくるゾ!」
川道の大鏡餅、来年も拝みに行こう。幸せがもらえそう。
コメント